通信制高校は、全日制の高校と比べて学費が安いのが特徴ですが、教科書代や修学旅行・イベント代などの出費はあり、収入の少ない家庭では厳しいものがあります。
ここでは、通信制高校に通ううえで援助を受けることができる「学費支援・補助金」についてご紹介します。
2026年度からは、授業料を支援する「高等学校等就学支援金」の所得制限がなくなり、世帯年収にかかわらず支援を受けられるようになりました。学費が高いからといって入学を諦めず、使える支援制度はしっかり使い、希望の通信制高校への入学を叶えましょう。
通信制高校で使える主な学費援助の一覧
| 制度 | 対象 | 支援の内容 | 返済 |
|---|---|---|---|
| 高等学校等就学支援金(国) | すべての高校生(所得制限なし) | 授業料を支援。公立通信制は1単位336円、私立通信制は年額337,200円が上限 | 不要 |
| 高校生等奨学給付金(国・都道府県) | 生活保護世帯・住民税非課税世帯など | 教科書代・教材費など授業料以外の費用を支援。非課税世帯の通信制は年額50,500円(国公立)・52,100円(私立)が基準 | 不要 |
| 日本教育公務員弘済会の奨学金 | 学校長の推薦を受けた高校生 | 支部ごとに給付額・条件が異なる | 不要 |
| 石澤奨学会の奨学金 | 定時制・通信制高校の生徒 | 月額25,000円 | 不要 |
| 地域・自治体の制度 | その地域に住む生徒など | 団体・自治体ごとに異なる | 制度による |
通信制高校で使える学費免除制度とは?
通信制高校でも公立高校と同じく、様々な学費免除や無償化の制度が存在します。
高校授業料の実質無償化制度は2010年から導入が始まりました。高校の学費の負担を大きく減らすことができる制度です。
全日制の公立高校では、月額9,900円(年額118,800円)の授業料が支援され、授業料が実質無料になります。
大きな特徴としては授業料が無料になる制度ですので、学校の教科書代や入学金には使用できません。
私立高校や通信制高校の場合も、国公立と私立の区別なく利用できる就学支援金制度の対象となります。公立の通信制高校では授業料が実質無料になり、私立の通信制高校では年額337,200円を上限に、授業料の範囲内で支援を受けられるのがポイントです。
就学支援金が適用されるのは「授業料」のみ

就学支援金制度も授業料に対する制度のため、授業料以外にこのお金を使用することはできません。
授業料の実質無償化制度や就学支援金制度のお金は直接学校が受け取り授業料に充てるので、生徒や保護者が直接受け取ることはないので注意しましょう。
なお、就学支援金を受け取るには、在校生も含めて学校を通じた手続きが必要です。手続きをしないと授業料を自己負担することになるので、学校から案内があったら忘れずに申請しましょう。
これらの制度は入学後に学校から案内がありますが、入学前に詳しく知りたい場合には中学校の進路指導の担当者や高校の担当者に相談してみましょう。高校のオープンキャンパスに参加すると質問に答えてくれる個別相談などがありますので、そこでも詳しい説明を受けることができます。
授業料の実質無償化制度や就学支援金制度の対象になれば、毎月の授業料を学校に納入する必要がなくなるので経済的な負担を軽減することが可能です。
通信制高校の学費援助その1:高等学校等就学支援金

高等学校等就学支援金は、国が授業料の援助・補助してくれる制度です。
当然、この制度は、私立高校や通信制高校に通う場合も適用されます。
以前は世帯年収による所得制限がありましたが、2026年度から所得制限が撤廃され、世帯年収にかかわらず利用できるようになりました。返済も必要ありません。
私立高校の支給上限額も引き上げられ、全日制は年額457,200円、通信制は年額337,200円が上限です。実際の支給額は授業料の範囲内となるため、授業料が上限より安い学校では授業料の金額までの支援になります。
「高等学校等就学支援金」で支給される金額

公立通信制高校の場合は1単位336円、私立通信制高校の場合は年額337,200円を上限に支給されます。
公立の通信制高校では、1年間に支給の対象になるのは30単位までです。私立の通信制高校は1単位あたりの授業料が学校ごとに違うため、履修する単位数と授業料によって実際の支給額が決まります。
この金額が支給されることにより、公立の通信制高校では授業料が実質無料になり、私立の通信制高校でも授業料の負担を大きく減らせます。入学金や施設費、教材費などは対象外なので、学費を比べるときは授業料以外の費用も確認しておきましょう。
LINK:高等学校等就学支援金(文部科学省)
通信制高校の学費援助その2:高校生等奨学給付金

先にご紹介した高等学校等就学支援金は授業料に対する支援制度ですが、「授業料以外の教育費」の支援制度もあります。
それがこの「高校生等奨学給付金」です。
ただし、こちらは高等学校等就学支援金と違い、対象が「高校生等がいる低所得世帯」となっています。
特徴は、何といっても、一般的な奨学金と違って、これは「返還不要」であることです。安心して学費の援助・補助を受けることができます。
支給対象は、生活保護世帯や住民税所得割が非課税の世帯などです。2026年度からは対象が中所得層の一部にも広がり、住民税所得割額が一定額未満の世帯も、金額は少なくなりますが受給できるようになりました。そしてこちらも当然ながら、私立・公立問わず、通信制高校に通う場合でも受給が可能です。
LINK:高校生等奨学給付金(文部科学省)
「高校生等奨学給付金」で支給される金額

住民税非課税世帯で通信制高校に通う場合、国の基準額は国公立高校ならば年額50,500円、私立高校ならば年額52,100円です。生活保護世帯や、新しく対象になった世帯は金額が異なり、実際の給付額は都道府県ごとに決められています。
また「授業料以外の教育費」の範囲は大きく、教科書費や教材費に留まらず、PTA会費や修学旅行費なども対象となっているので、広い範囲での補助が受けられます。
ちなみに、申請窓口や問い合わせ先は、保護者が住んでいる都道府県や、公立か私立かによって変わってきます。申請の時期も都道府県ごとに決まっているので、在籍する学校や都道府県の担当窓口に確認しておきましょう。
通信制高校の学費援助その3:日本教育公務員弘済会の貸与奨学金・給付奨学金事業

こちらは、日本教育公務員弘済会が学費の援助・補助を目的として実施している事業です。
高校生であるならば通信制高校に通う場合も対象になります。高校生向けの奨学金は、返還不要の給付奨学金が中心です。
対象は、修学意欲がありながら、学校に納めるお金などの支払いが特に困難な生徒です。高校生等奨学給付金のように明確な所得の基準はないうえに在学中の学校長から推薦を受けなければならず、そのうえで各支部の窓口での申請が必要です。
事業は都道府県ごとの支部で行われていて、給付額や募集の時期、対象になる学校は支部によって違います。一人あたり数万円から10万円程度を一度に給付する支部が多いので、どうしても困っている場合は、在籍する学校の奨学金の担当の先生に募集があるか相談してみてください。
通信制高校の学費援助その4:石澤奨学会の奨学金給付

こちらは一風変わった学費の援助・補助制度です。なんと、支給対象は「定時制通信制高校に在学する生徒のみ」となっています。
一般的な支援制度が高校全てであるのに対し、こちらは定時制通信制高校に通う生徒への支援に特化した制度と言えるでしょう。
公益財団法人石澤奨学会に申請し、奨学生と認められたら受給が可能です。
給付額は月額25,000円で、返還の必要はありません。1年生から4年生まで新しく応募でき、他の制度と組み合わせればかなりの助けになります。
ただし、給付の期間は「採用時から学則に決められた最短修業年限」となっているため、留年などをするとその分の支援は受けられません。
支援の有無にかかわらないことではありますが、やはりこうした支援を受ける場合、より一層勉学に励みましょう。
LINK:石澤奨学会 奨学金給付
通信制高校の学費援助その5:各地域・自治体に限定した制度

これまでご紹介したのは全国の通信制高校で利用可能な制度でしたが、他にも地域・自治体に限定した援助・補助制度もあります。2つほど例をご紹介します。
1.ネグロス育英会による制度(東京)
1つ目は、ネグロス育英会による制度です。保護者が東京都に居住していて、かつ組織が定める家庭環境に該当し、さらに品行方正などの理由で在学中の学校長から推薦を受けた場合に、応募することができます。
生活保護受給世帯、住民税納付額が少ない世帯などが対象です。給付金額は月額15,000円となっています。
注意するべきは、他の奨学金と併用することが不可能な点です。奨学金としても小規模でしかも併用できないとなると不安ですが、一方で、生活保護受給をしていないし住民税も指定金額を超えているという場合でも、例えば学費負担者が病気で療養が必要な場合、なども対象となっています。他の奨学金の要件に当てはまらない場合、こちらの利用も検討してみましょう。
LINK:公益財団法人 ネグロス育英会
2.大阪府育英会による奨学金事業
2つ目は、大阪府育英会による奨学金事業です。保護者が大阪府内在住で、かつ所得が少ない場合に申請が可能となっています。
高校生の場合は、月額35,000円以内で希望額を無利子で借りることができ、入学時に必要な費用として就学支度費(500,000円以内)を借りる制度もあります。こちらは貸与型の奨学金なので、返済が必要な点は注意しておきましょう。
このように各地域・自治体に応じて、様々な学費の援助・補助制度があります。それぞれ要件や金額など様々なため、お住まいの地域・自治体で可能な制度を調べてみても良いでしょう。
場合によっては、他のどこからも支援が受けられなかったが一つだけ可能な制度がある、という場合も可能です。特に私立の場合はかなりの金額になるので、特に注意して調べておきましょう。
LINK:公益財団法人 大阪府育英会
通信制高校の学費援助についてよくある質問
- 私立の通信制高校でも就学支援金はもらえますか?
-
もらえます。私立の通信制高校では年額337,200円を上限に、授業料の範囲内で支給されます。2026年度から所得制限がなくなったので、世帯年収にかかわらず対象になります。
- 就学支援金で入学金や教材費も払えますか?
-
払えません。就学支援金は授業料だけに使われ、学校が直接受け取ります。教科書代や教材費などは、条件に当てはまれば高校生等奨学給付金の対象になります。
- 返さなくてよい支援はどれですか?
-
就学支援金、高校生等奨学給付金、日本教育公務員弘済会の給付奨学金、石澤奨学会の奨学金は返還不要です。大阪府育英会のような貸与型の奨学金は返済が必要です。
通信制高校でも学費援助・支援は受けられます
このように、奨学金制度には多くの種類があり、それぞれ要件・金額・返還の有無が違います。
また、通信制高校は一般的な高校と違うため支援を受けられない、と思いがちですが、あくまでも「高校」であるため、その実多くの制度の対象になっているのです。さまざまな制度を知り、利用して、安心して学生生活を送りましょう。
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