通信制高校と言えば、成績不良者が逃避先として進学するという「進学をしたら人生終わり・・・」といった、悪いイメージを持っている生徒もいるかもしれません。
しかしながら、通信制高校も変容・進化して多様な生徒が希望するようになり、世間の目も変わってきました。
不登校を経験した生徒だけでなく、専門授業を学びたい、大学進学に向けての準備をしていきたい生徒にとっても、通信制高校は積極的に選ばれるようになっています。
この記事では、通信制高校の実態と進学する意義について解説します。
通信制高校に入学すると人生終わりなの?
てかね 通信制の高校に行くって決めたから良いの あそこ偏差値30らしいし?
偏差値30ってくっそ低いらしいし?
バカの私でも入れるでしょ!まぁある程度頑張るけどさ!偏差値30って低すぎってバカにされてるけどいいじゃんバカはバカなりに生きるんだから!— き ら り @ 低 浮 上 ? (@09032w) December 13, 2021
通信制高校は、その名の通り通信教育を前提としており、原則として通学が必要がない学校です。
ここ数年、通信制高校に進学する生徒も増え、公立も私立も各地に設立されるようになり、進学希望者も増えつつあります。公立系は数が少なくレポートのオンライン提出が認められていないなど難点もあるものの、学費が格段に安く入学しやすくなっています。
ネット環境が整い、学びやすくなった通信制高校
僕は中学3年間家に引きこもってたので、面識のない人と話すのが全く出来ませんでした。
そこから通信制の高校に入り、ネット上で友達が出来たのが転機で、自然とコミュニケーション取れるようになりました。
何かのきっかけがあると、人は変われるので、コミュ障に困ってる方は是非🙂
— とってぃー 元不登校ミニマリスト (@totti0666) December 6, 2021
従来は参考書を読んでレポートを提出し、定期試験を受験して合格すれば単位を取れる形式が主流でした。そのため、わからないことがあっても教師に逐一質問することが困難だったと言えます。
しかし、インターネットの発達によりオンライン授業が取り入れられるようになって、生徒は自宅のネット環境さえ整っていれば、いつでも教師の授業を受けられ、チャットやメールを通じて気軽に質問できるようになりました。
通信制高校を卒業すると、全日制の卒業資格と同じ
通信制高校で卒業単位を取得すると、一般の高校と同様に高校卒業が認められます。高校卒業の資格を取得した以上、就職や大学進学についても支障はありません。
大学受験や求人応募の際に、履歴書等へ通信制高校の旨を記載する必要はありません。AO入試や推薦枠の受験も可能です。
もちろん、面接等で高校時代の活動状況に関する質問をされたら、通信制高校卒業であることは伝えなければならないでしょう。だからといって、そのことが著しく採用や合格に悪影響を与えたという事例はありません。
資格取得を目指すコースは、逆に就職にも有利
また、通信制高校も多様化し、普通科だけでなく、私立の通信制高校などで保育士や看護師をはじめ、調理師・トリマー・美容師など特定の資格取得を目指すコースも設立されています。
IT技術の発達に合わせて、需要の多いシステムエンジニアやプログラマーの育成コースを設定する通信制高校も現れました。
こうした専門的スキルを身につけられるコースは、卒業後の進学や就職に生かせるとして特に人気があります。
通信制高校に進学する生徒たちの実像とは?
通信制大学ってバカにされがちだけれど、学生の学習意欲はとても高いからそれに応えるべく授業も洗練されてる。大抵の学生が社会人で、仕事しながらでもどうしても勉強したくて自腹で受講してるんだよ。レベル低い訳ないでしょう。
— Matsuki *** (@liliput) April 19, 2020
従来は一般の高校に適応できなかったために、やむを得ず通信制高校に転校する生徒が主流でした。
そのため、
「通信制高校に入学したら、進学もできなければ、就職にも不利。人生終わり・・・」
といった印象を持つ人も少なからずいたように思います。
しかし、制服などの拘束がなく、校則にも縛られない自由な生活を重視する生徒も増え、その気持ちを尊重する保護者も増加することにより、前向きの姿勢で通信制高校を選択するケースが一般的になってきました。
オンライン学習で勉強をする生徒
何よりもオンライン授業が学習塾や予備校など様々な方面で普及し、その利便性が評価されたことは、通信制高校に対する偏見を取り除く要因の1つとなったのかもしれません。
日頃の生活でもインターネットが欠かせない生徒たちにとって、オンライン授業は馴染みやすく抵抗感がないのです。また、オンライン授業は自分の好きな時間帯に受けられるので、毎日の生活のリズムが取りやすく、登校が苦手な生徒でも個人に合ったペースで勉強できる利点もあります。
計画の立て方や生活の過ごし方についても、チャットやメールで教師からきめ細かい指導を受けられ、途中で脱落するリスクも減ったと言えるでしょう。
通信制高校で大学進学を目指す生徒
新しいタイプの通信制高校として話題になった「N高」から難関大学への進学者も出ているという記事をみて、やはり遠隔教育という選択肢を設けるという事は有用だと改めて感じる。大学進学に限らず、不登校経験者が多様な進路に進むためのステップとして通信制高校が活用されるというのは歓迎すべき事。
— 野原 結理那 (@yurinan90) March 29, 2019
大学進学を通信制高校入学当初から目指す生徒は、通信制高校の授業のほかに予備校や学習塾のオンライン授業も併用することも可能です。
通信制高校を利用する生徒の中には、校則や生活指導のない塾や予備校だけ通学コースを選ぶ人もいます。大学受験に関する情報は塾や予備校から入手できるし、模試や講習も受けられるため、受験準備に心配はありません。
学費がかさむ点は否定できませんが、この点は塾や予備校の現役生コースに通う一般の高校生と変わらないでしょう。
アルバイトをしながら通信制高校に通う生徒
通信制高校に通いながら、アルバイトやボランティアに精を出し、社会勉強を怠らない生徒もいます。
私立の通信制高校の学費は一般の高校より特に低価格というわけではないので、アルバイトをして学費を稼ぐ目的の場合もあるでしょう。
先述した美容師やトリマーなどの資格取得を目指しながら、現場でアルバイトをして実務の実態を勉強するという生徒も珍しくありません。こうした社会経験は、就職の際に役立つでしょう。
様々なタイプの生徒に対応する通信制高校のサポート体制
手帳が取れないくらいボーダーな発達障害の子、成績低空飛行でも大学行きたければ面倒見のいい私立高校を探せばいい。
就職か進学かわからない子は通信制ならどっちに転んでも対応OK。毎日通う通信制もある。
私立高校は国の補助の他に県が認可してる高校なら県の補助もある。— こもも☆ (@komomo_mk) December 24, 2019
このように、夢と希望を持って通信制高校に進学し、立派に就職や大学進学を果たしている生徒は少なくありません。
もちろん、一般の高校に比べればその比率は低いかもしれませんが、通信制高校に進学したからと言って、人生終わりではないのです。
何となく周囲の友人も行くからという理由で一般の高校に進学し、受け身の学園生活を過ごして高校卒の資格を取るだけよりも、主体的な姿勢を求められる通信制高校の方が、充実した時間を過ごせることもあるでしょう。
環境整備やサポート体制も充実
通信制高校は、こうした意欲のある生徒が過ごしやすい環境を整えるとともに、様々な事情で一般の高校をリタイアしたり、発達障害などを抱えたりする生徒の対応も行えるよう体制を整備しています。
通信制高校には心理カウンセラーやセラピストなどの専門家を常駐させ、いつでも生徒の悩み相談に応じられるようにしているのです。一般の高校では人間関係が上手くいかず不適応状態に陥った生徒であっても、通信制高校で個別のメンタルケアを受けながら単位を修得し、難なく卒業できたというケースも珍しくありません。
自分に合っている通信制高校を選ぶためにできること
どの通信制高校が自分に合っているかを判断するためには、オープンスクールや体験入学などの機会を利用し、説明会や個別相談会に足を運ぶことが欠かせません。
通信制高校でも文化祭を企画しているところがあるので、見学に行けば学校の雰囲気がわかるでしょう。
このほかに、自宅へ赴いて説明を行っている通信制高校もあります。通信制高校は、新入生のためにこうしたイベントを開催して様々な生徒の受け入れを進めています。
通信制高校は、生徒の多様性を認め、個人を尊重しながら将来の就職や進学に夢をつなげてくれる学校です。
一般の高校への進学に不安を覚えたり、高校生活に居心地の悪さを感じたりするなら、通信制高校のイベントや相談会に参加して実情を把握し、選択肢の1つに入れてみてください。